市街化調整区域のメリット・デメリット
皆様こんにちは、代表の三原です。
本日は「市街化調整区域」に絞ったお話しです。
不動産情報サイトやチラシなどで土地を探している際に目にする「市街化調整区域」。
“家を建てられない” “購入しないほうがいい”などという情報も目にします。
また、マスカット不動産が拠点としている岡山市は「市街化調整区域」が結構多いです。
市街化調整区域のメリットとデメリットについて書いたほうが良いかなと思いましたので、今回はこのテーマでいきます
まずは「市街化区域」と「市街化調整区域」の違いから
市街化区域
「都市計画区域内ですでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域」のことです。なお、市街化区域には用途地域が必ず指定されています。
市街化調整区域
「市街化を抑制すべき区域」のことで、開発行為は原則として禁止されています。市街化調整区域を定める主な理由は、無秩序な開発を防ぐことにより農地や自然環境を守るためです。
原則として、市街化調整区域内に家を建てることはできません。
しかしながら、一部条件を満たした場合は家を建てることは可能です。
建物を建てるために必要な開発許可
市街化調整区域では、建物を建てるために開発許可と呼ばれる許可が必要となります。開発許可とは、開発行為を行う者に対して行政が出す許可のことです。開発行為には、「区画の変更」「形状の変更」「形質の変更」の3種類があります。
「区画の変更」とは、敷地内に新たに道路を設置するなどの行為のことです。「形状の変更」は、一定の高さ以上の盛り土や切り土のことを指します。「形質の変更」とは、「宅地以外の土地(農地、雑種地等)」を「宅地」に変更することです。ここでいう宅地とは、建物の敷地に供される土地のことを指します。
市街化調整区域においては、土地の面積に関わらず、開発行為を行う場合には開発許可が必要となることがポイントです。
例えば、建物が建っていない雑種地や原野、山林などに建物を建てることは、「宅地以外の土地」を「宅地」に変更する「形質の変更」に該当します。市街化調整区域では、土地の面積に関わらず、開発行為には開発許可が必要となるため、「形質の変更」を行う場合には、開発許可が必要となるのです。ただし、開発許可は要件を満たせば許可が下ります。そのため、市街化調整区域であっても、開発許可を取得すれば建物を建てることは可能です。
都市計画法第43条許可
都市計画法43条とは市街化調整区域における建築行為であって、開発行為を伴わないものに対する建築の許可のことを言います。なお、建築許可は開発行為に対する許可である開発許可とは異なり、すでに土地利用が図られていた土地に対して建築を認める制度でありますので、開発許可と比べて手続きは簡便です。市街化区域から1km圏内や市街化区域まで4mの道路がつながっている場合など申請により建築可能になります。大規模な造成工事がないことが基準になり、すでに住居を持っている方は申請できません。
次に市街化調整区域のメリット・デメリットについて
【市街化調整区域のメリット】
相場より安く買える
市街化調整区域は建築制限がかけられている為、資産価値が低く、近隣エリアの相場より安く購入できるのが大きなメリットです。少しでも購入予算を抑えて広い土地を購入したい、土地購入予算を抑えた分を建築予算に回したりと選択肢が広がります。
固定資産税が安く、都市計画税が掛からない
市街化区域と調整区域の違いは、簡単に言いますと都会か田舎かみたいなイメージです。つまり市街化調整区域は土地評価額が低くなります。固定資産税は「評価額×1.4%」で計算されますから、税率が下がるわけではありませんが、評価額が低いと税金も安くなりますね。また、都市計画税とはインフラを整備するための税金です。市街化区域に住んでいる方に掛かる税金ですので、市街化調整区域に住んでいる方には基本的に掛かりません。
静かな場所や陽当たりが良い土地が多い
市街化調整区域は基本的に郊外にあり、訪れる人が少ないため交通量と騒音が少ないのも特徴です。住環境としては理想的なため、マイホームの立地にとって大きなメリットとなります。また、大きなビルや商業施設がつくられる可能性も低く、遮るものがないため日当たりの良い土地を見つけやすく、後々周囲に高い建物がつくられて、日当たりが悪化する可能性が低いのがメリットです。
【市街化調整区域のデメリット】
インフラが整っていない場合がある
積極的な開発が行われない市街化調整区域は、下水道や都市ガスなどのインフラ整備が遅れている傾向があります。
融資が通りにくい場合がある
市街化調整区域の立地によっては、利便性やインフラ整備が不十分で担保価値が低いとみなされ、市街化区域に比べてローン審査が通りにくいのは事実です。家が建築できる土地であっても借入限度額や期間が制限される可能性がありますので注意が必要です。
50戸連たん制度の廃止
「50戸連たん」制度とは、本来住宅や店舗など建物の建築を認められていない市街化調整区域において敷地間が55メートル以内にある建物が50戸以上集まっている場所に限り、宅地として土地開発を認めている制度です。
この特例が岡山県の中核市である倉敷市は既に廃止、岡山市と倉敷市の間にある都窪郡早島町も令和6(2024)年4月1日から、岡山市の隣の赤磐市も令和7(2025)年4月1日から廃止されます。また、岡山市も令和8(2026)年4月に廃止する方向で検討することが明らかになっています。
50戸連たん制度 岡山市が廃止検討人口減受け都市機能集約へ 経過措置経て26年4月にも
市街地が無秩序に広がるのを抑えるため、市街地から離れた地域は土地開発しない→だんだん住みづらくなる→住民が市街地に集まってくる・・・という都市機能を集約する「コンパクトシティー化」に向けた目的のようです。
また、「50戸連たん」の特例廃止は、農地から宅地に地目変更をしたり、宅地として土地を分割したりする開発行為に制限がかかるという内容なので、既に建物が建っている市街化調整区域内の宅地については、建て替えや同じ用途・規模の場合は開発行為に当たらないとするのが原則です。
売却がしにくい
市街化調整区域は、購入希望者が限られるため売却しにくい点も把握しておくべきデメリットです。絶対に売却できないわけではありませんが、時間がかかったり、思うような金額で売れなかったりする可能性が高いです。
農業用倉庫に適している、田や畑として売る等、用途が限られてくるほど売りにくくなりますのでそこも注意が必要ですが、マイホームを建てて、その場所に一生住んでいく考えなのであればあまり気にしなくても大丈夫なのかもしれません。
最後に 市街化調整区域の調べ方
市街化調整区域の不動産は基本的には物件情報に記載されていますが、特定のエリアについて調べることもできます。
各自治体が公表している都市計画マップでは、地図上で市街化調整区域の範囲を確認できます。
また市街化調整区域に該当するか判断が難しい場合は、自治体に問い合わせて確認することも可能です。建築許可が下りるかどうかなども含めて、購入前に確認すると安心です。
岡山県であれば市街化調整区域内の不動産購入が検討に入ってくるケースも多いかと思います。
市街化調整区域内の不動産にはメリット・デメリット両方があり、目的や用途によって購入すべきかどうかも変わります。長期的視点で比較検討し、「負動産」になることを回避しましょう
市街化調整区域内ですが、家が建てられる売土地のご紹介です。
岡山市南区藤田売土地(67.76坪)
詳細はこちらをクリック⇒ 岡山市南区藤田売土地【建築条件無し】