
日本銀行が政策金利を0.25%➡0.5%へ引き上げのニュースが話題になっています。
住宅ローンを組んでこれから家の購入を検討されている方や既に住宅ローンを組んでいる方にとって「日本銀行の政策金利」と「民間の銀行(金融機関)の住宅ローン金利」の関係を理解することは重要です。政策金利がどのように住宅ローン金利に影響を与えるのか解説してみます。
【日本唯一の中央銀行】
民間の銀行(金融機関)は日本銀行に口座を持っていて 、お金の一部を日本銀行に預けています(私たちが銀行(金融機関)に預金をすることと同じ)また、急にお金が必要になった時は、民間の銀行(金融機関)は日本銀行から資金調達をすることもできます(私たちが銀行(金融機関)に住宅や車の購入、事業資金等を借入れすることと同じ)このことから、日本銀行は「銀行の銀行」とも呼ばれています。
日本銀行が設定し管理する基準金利のことです。景気の過熱を抑えるために行なう政策金利の利上げが「金融引き締め」←今回がこれです。景気を活性化させるための利下げを「金融緩和」と言います。
民間の銀行(金融機関)が、日本銀行からお金を借り入れる際の金利が私たち消費者に受ける影響が、
低い金利⇒ 企業や個人が低い金利でお金を借り入れることができ、そのお金で企業が設備を買ったり、個人が家やマンション、車を買ったりしたりと景気が良くなり、物価が上昇すると考えられます。
高い金利⇒企業や個人がそれまでより高い金利でお金を借りることとなり、物の購入を控えるようになるため、景気が悪くなり、物価が下がることが考えられます。
民間の銀行(金融機関)が日本銀行から資金調達している金利が上がる
↓
私たちが銀行(金融機関)から借りる事業資金や住宅ローンの金利が上がるのではという〈民間の銀行(金融機関)が日本銀行に返済する金利が上がっているのに企業や個人へ貸しているお金の金利が低いままだと収益が保てなくなる〉懸念 があります。
住宅ローンの変動金利型は政策金利に連動し、初期金利が低いのはメリットですが、金利上昇時には返済額が増加するリスクがあります。現在、日本では住宅ローン利用者の約80%近くが変動金利型を選んでいます。
出典:住宅金融支援機構 住宅ローン利用者調査(2024年10月調査)
変動金利に関して、返済負担が急激に増加するのを防ぐため、多くの金融機関では「5年ルール」と「125%ルール」を定めています。
まず「5年ルール」とは、原則として金利が上昇しても最初の5年間は返済額が変わらないというルールです。金利が上昇したら、すぐ返済額に影響が出るというわけではありません。
2つ目の「125%ルール」とは、毎月の返済額に関するルールです。たとえ5年ごとの見直しで金利が上がったとしても、毎月の返済額は最大でも1.25倍までとなります。たとえば10万円の場合、12万5,000円を超えることはありません。
5年ルールと125%ルールは法律で決められているものではないため、金融機関やローンによっては適用されないこともあります。
また、変動金利で借りた場合でも、5年ルールと125%ルールの対象になるのは元利均等返済の場合だけで、元金均等返済ではそもそもルールが存在しません。また、当初期間固定金利型(10年固定など)の商品の固定金利期間経過後に変動金利を選択した場合にも、このルールは適用されません。
金利の動向はどうやって予測する?
一般的に、長期固定金利型の金利は、国が資金を集めるために発行する10年物国債の利回りに影響を受けるとされています。国債の中で最も流通量が多く、毎月発行されている10年物国債は、長期金利の指標とされています。長期金利が変動する原因には様々な要因があるのですが、一般的には、景気が良くなると上昇し、景気が悪くなると下がると言われています。
10年物国債の利回りは、新聞の経済面に毎日掲載されていますし、ネットでは各証券会社のホームページなどでチェックすることができます。全期間固定型や固定期間の長い住宅ローンの利用を考えている人は、チェックする習慣を持つことがいいかもしれません。
参考:楽天証券ホームページ【日本国債10年 年利回りマーケット情報】↓
参考:フラット35ホームページ【最新金利情報】↓
変動金利型の指標となるのが、短期プライムレートです。短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い優遇企業に対してお金を貸し出すときの優遇金利のことです。このプライムレートの変動に影響を与えているのが、日本銀行が決める政策金利です。
住宅ローン変動金利の動向は、日本銀行の政策金利の影響を受けるため、 景気が良くなると金利は上がり、景気が悪化すると下がります。
短期プライムレートは、日本銀行のホームページで確認できます。
参考:日本銀行ホームページ【長・短期プライムレート推移データ】↓
金利の動向を予測することは誰でも難しいものです。しかし、こうした傾向を意識しながら新聞やニュースを見る習慣を持てば、自分なりの方針を立てることができるでしょう。
株式会社マスカット不動産
代表取締役 三原 和貴